Seed and Grow
会場に足を踏み入れた時に感じたちょっとした違和感。
においがあるということ。
「野菜男」を形作っているバナナやカリフラワーなどが、刻々と熟れていくにおい。
私の後ろから足音高く近づいていた幼い女の子が、迷うことなく野菜男に触れて言いました。『うん、まだだいじょうぶ。』
たぶん彼女は、この作品が生きていることを知って、その変化を確かめに通っているのではないでしょうか。
別室では、虫たちがまさに生産活動をしているただ中。
ミミズが土を耕し、8,000匹の蜜蜂が、美術館の内と外を行き来しています。
なんの予備知識もなく出会ったこの<たねを育てる展>。
農業としての種まきと、アイデアのたねまき。ファブリス・イベールという人の愉快な企みごとをのぞいたような気分になりました。
東京の中心で、やさいが育っていくようすを見に、また出かけたいと思っています。